
だえれあふぇふぁゔぁうぇわふじこ¥
夜の雨
夜になって雨が降りはじめた。予報では知っていたけれど、実際に音が聞こえてくると、やっぱり少し嬉しい。雨の夜は、世界が一回り静かになる気がする。
机に向かって、明かりをひとつだけ点ける。窓ガラスを伝う雫を眺めながら、温かいお茶を淹れた。今日あったことを順番に思い返してみても、特別なことは何もない。それでいい。
何でもない一日を、何でもないまま書き留めておく。
そんなふうに続けていけたら、と思っている。雨はまだ、しばらく止みそうにない。
古い喫茶店で
駅の裏手にある古い喫茶店に入った。重い木の扉を押すと、コーヒーの香りと、低く流れるピアノの音が迎えてくれる。何十年も変わっていないであろう店内は、時間の進みかたまでゆっくりに感じられた。
窓際の席に座って、ブレンドを一杯たのむ。運ばれてきたカップは少し縁が欠けていて、それがかえって心地よかった。

本を読むでもなく、ただ湯気が立ちのぼるのを眺めていた。スマートフォンを鞄にしまったまま、一時間ほど。何も生み出していないけれど、確かに満たされている時間だった。
帰りぎわ、マスターが「またどうぞ」と小さく言った。きっとまた来る。
朝、いつもより早く目が覚めた。カーテンの隙間から入る光がまだ青くて、部屋の輪郭がゆっくりとほどけていくのを、布団の中からしばらく眺めていた。
急ぐ理由は何もない。けれど早く起きた朝には、一日が少しだけ長くなったような、得をした気分になる。お湯を沸かして、白湯を一杯。窓を開けると、外の空気はまだ夜の冷たさを残していた。
こういう何でもない時間のことを、忘れないうちに書いておきたいと思った。それがこの日記をはじめた理由かもしれない。